非弁行為とは?弁護士がWebマーケティングを行う際の注意点

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弁護士にとって、Webマーケティングの重要性は年々高まりを見せています。

Webマーケティングは、その効果にばかり目が行きがちですが、弁護士にとってきわめて重要な注意点として、非弁行為との関係があります。

Webマーケティング業者の中には、非弁行為を働く悪質な業者が存在することも事実です。

弁護士が非弁業者と関与してしまうと、刑事罰や弁護士会からの懲戒処分を受け、弁護士としての活動を続けていくことが不可能になってしまうおそれさえあります。
そのため、弁護士は非弁業者を慎重に避けたうえで、法的にクリアなWebマーケティングを行っていくことが求められるのです。

この記事では、弁護士が行うWebマーケティングの手法について、非弁行為との関係を中心に解説します。

弁護士のWebマーケティング手法

Webマーケティングの手法はきわめて多様であり、弁護士がWebマーケティングを行う場合についても、実にさまざまな手法が考えられます。

以下では、弁護士がWebマーケティングを行う場合の具体的な手法の例を紹介します。

リスティング広告を出してLP(ランディングページ)、公式ホームページへ誘導する

GoogleやYahooのリスティング広告や、閲覧数の多いWebサイトに広告を掲載して、事務所の公式ホームページに誘導するのは、もっとも典型的なWebマーケティングの手法です。

弁護士事務所は、Googleへクリック単価としてリスティング費用を支払います。また、掲載先のサイトに対して広告掲載料を支払い、その金額に応じて、一定の期間、サイト上に弁護士事務所のバナーや動画広告などが掲載されます。

掲載先のサイトが影響力の強いメディアであればあるほど、広告の効果が高まる反面、広告掲載料も高額になる傾向にあります。

ポータルサイトに弁護士情報を掲載する

インターネット上には、弁護士専門のポータルサイトが多数存在します。

たとえば、弁護士に関する総合的なポータルサイトである弁護士ドットコムなどが有名でしょう。

(参考:弁護士ドットコム

また、当社でも、交通事故や債務整理などの特定の分野に特化したポータルサイトを運営しています。

(参考:交通事故弁護士相談Cafe
(参考:債務整理弁護士相談Cafe

こうしたポータルサイトには、法律問題を弁護士に相談したいという潜在的な顧客が多数アクセスします。
閲覧者は、対応分野や地域などから弁護士を検索して、良いと思った弁護士に対して直接コンタクトを取ることによって、実際の依頼へ繋がるという流れです。

したがって、ポータルサイトに弁護士情報を掲載してもらうことによって、不特定多数の潜在顧客に対して、効果的に事務所の存在をアピールすることができます。

法律関連の解説ブログなどを運営する

最近では、弁護士事務所が法律に関する解説ブログや専門サイトを運営しているケースもあります。

インターネット上で法律に関する疑問を調べる人は、まず特定のキーワードで検索を行い、ヒットした上位の記事を閲覧するのが通常です。
このことを利用して、キーワードごとに上位にランクインするような記事を書き溜めてブログなどにアップしておくことで、ブログ全体の閲覧者数の増加を見込むことができます。

さらに、ブログ記事の中に弁護士への相談を促す内容の記述を盛り込み、公式ホームぺージへのリンクを貼るなどしておけば、ブログ経由で依頼者を獲得することもできるでしょう。

SNSを通じた集客を図る

TwitterやInstagramなどのSNSを利用した集客も、最近ではメジャーなWebマーケティング手法の一つになっています。

SNSで有益な発信をすることにより、弁護士のファンを増やしていけば、自然と知名度がアップし、実際の依頼件数増加にも繋がるでしょう。

参考記事:弁護士営業はインバウンドマーケティングが最適

Webマーケティングは非弁の問題を生じ得る|非弁規制の内容について

弁護士事務所が、Webマーケティングを外部業者に依頼して行う場合、弁護士法や弁護士職務基本規程における「非弁行為の禁止」に抵触しないよう注意しなければなりません。

まずは、弁護士法と弁護士職務基本規程における、非弁行為に関する規制条文の中で、Webマーケティングに関連するものをおさらいしておきましょう。

(非弁護士の法律事務の取扱い等の禁止)
第七十二条 弁護士又は弁護士法人でない者は、報酬を得る目的で訴訟事件、非訟事件及び審査請求、再調査の請求、再審査請求等行政庁に対する不服申立事件その他一般の法律事件に関して鑑定、代理、仲裁若しくは和解その他の法律事務を取り扱い、又はこれらの周旋をすることを業とすることができない。ただし、この法律又は他の法律に別段の定めがある場合は、この限りでない。

(非弁護士との提携の禁止)
第二十七条 弁護士は、第七十二条乃至第七十四条の規定に違反する者から事件の周旋を受け、又はこれらの者に自己の名義を利用させてはならない。
(弁護士法72条、27条)

(非弁護士との提携)
第十一条 弁護士は、弁護士法第七十二条から第七十四条までの規定に違反する者又はこれらの規定に違反すると疑うに足りる 相当な理由のある者から依頼者の紹介を受け、これらの者を利用し、又はこれらの者に自己の名義を利用させてはならない。
(報酬分配の制限)
第十二条 弁護士は、その職務に関する報酬を弁護士又は弁護士法人でない者との間で分配してはならない。ただし、 法令又は本会若しくは所属弁護士会の定める会則に別段の定めがある場合その他正当な理由がある場合は、この限りでない。
(依頼者紹介の対価)
第十三条 弁護士は、依頼者の紹介を受けたことに対する謝礼その他の対価を支払ってはならない。
2 弁護士は、依頼者の紹介をしたことに対する謝礼その他の対価を受け取ってはならない。
(弁護士職務基本規程11条~13条)

弁護士または弁護士法人でないWebマーケティング業者は、報酬を受ける目的で、法律事件の周旋を行うことが禁じられています。

また弁護士の側も、こうした非弁Webマーケティング業者から法律事件の周旋を受けることが禁じられているのです。

さらに、非弁行為を助長することに繋がる行為として、弁護士が非弁Webマーケティング業者に対して報酬を分配したり、依頼者紹介の対価を支払ったりすることも禁止となっています。

弁護士にすり寄る非弁Webマーケティング業者の手口とは?

Webマーケティング業者の中には、開業したばかりであるなど、これから仕事を増やしていこうとする弁護士にすり寄って、非弁提携の話を持ち掛けてくる悪徳業者も存在します。

その中でも特に悪質なのが、Webマーケティング業者が非弁行為を働くために、弁護士に名義貸しを依頼するなどして、実質的に法律事務所を乗っ取ってしまうケースです。
このような悪質な業者に加担しないように、非弁Webマーケティング業者の手口を理解しておきましょう。

弁護士に名義貸しを依頼する

弁護士法上、法律事件を取り扱うことができるのは、原則として弁護士のみであるということになっています。

そのため、法律事件に悩んでいる人から搾取して利益を得たいと考えているWebマーケティング業者は、表向きには弁護士が対応しているという体裁を取り、弁護士法に従ったビジネスをしているように見せかけようと考えます。
そこで、仕事を増やすためにWebマーケティングに力を入れようと考えている弁護士にアプローチをかけて、名義貸しを依頼するのです。

弁護士の側が、弁護士倫理を意識することなく「お金になるならいいか」と応じてしまうと、名義貸しを禁ずる弁護士法27条に違反し、刑事罰や懲戒処分の対象になります。

事務員を法律事務所へ派遣して、無資格で法律事件を取り扱う

弁護士から名義貸しの承諾を得たWebマーケティング業者は、法律事務所に対して、事件を取り扱うための事務員を派遣します。

対象となる法律事件は、過払い金請求などのマニュアル的な処理が可能なものが中心となります。
非弁Webマーケティング業者は、それほど高度な専門的知識を必要としない法律事件を大量に受注し、マンパワーを活用してマニュアル的に処理することによって、弁護士の力を借りずに多額の利益を得ようと画策していることが多いからです。

取り扱っている事件の内容が定型的だとしても、れっきとした「法律事件」であることに変わりはありません。
したがって、Webマーケティング業者の行為は、弁護士法72条が禁ずる非弁行為に該当します。

弁護士と非弁業者の間で報酬を分配する

非弁Webマーケティング業者は、処理した法律事件で得た報酬の一部を、名義貸しの対価として弁護士に分配します。

弁護士は労せずして報酬を得られる結果となりますが、これは非弁業者との報酬分配を禁ずる弁護士職務基本規程12条に違反します。

報酬額も、所詮は名義貸しの対価に過ぎないので、実際に非弁Webマーケティング業者が得た利益のうち、ごくわずかなものにとどまるケースが多いようです。
よって、弁護士が背負うことになる刑事罰や懲戒処分などのリスクと天秤にかければ、到底割に合わないものであると認識しておくべきでしょう。

法律事務所が乗っ取られてしまう

非弁Webマーケティング業者は、法律事務所の名義を利用して、定型的な法律事件を大量に取り扱います。

そのため、法律事務所の売り上げの大部分を非弁提携によるものが占めるようになってしまいます。
さらに、世間の法律事務所に対するイメージも、非弁Webマーケティング業者が取り扱っている法律事件の内容によって語られるようになるでしょう。

このような状況になると、実質的に法律事務所の経営を非弁Webマーケティング業者が行っているも同然になってしまいます。

非弁Webマーケティング業者に経営を乗っ取られてしまうと、弁護士の知らないところで顧客との間で多数のトラブルを抱えたり、多額の借金を背負って破産に追い込まれたりするケースがあります。

こうした手口で弁護士を利用しようとする非弁Webマーケティング業者には、十分に注意が必要です。

最近では、弁護士法人東京ミネルヴァ法律事務所が破綻した事件がおき、業者との関連が問題視されております。

参考:「弁護士法人東京ミネルヴァ法律事務所の破産でお困りの依頼者様へ(債務整理カフェ)」

弁護士が非弁行為に加担した場合に科される罰則・制裁

弁護士がWebマーケティング業者による非弁行為に加担した場合、弁護士法に基づく刑事罰や、弁護士会からの懲戒処分を受ける可能性があります。

弁護士法違反(刑事罰)

弁護士は、非弁業者から事件の周旋を受けた場合、弁護士法27条に定められる「非弁護士との提携の禁止」に違反します。

この場合、「2年以下の懲役または300万円以下の罰金」に処される可能性があります(弁護士法77条1号)。

弁護士会による懲戒処分

弁護士が「非弁護士との提携の禁止」に違反した場合、弁護士法上の懲戒事由に該当します(弁護士法56条1項)。

この場合、違反の悪質性などが勘案され、①戒告、②2年以内の業務停止、③退会命令、④除名のいずれかの処分を受ける可能性があります。

弁護士が懲戒処分を受けてしまうと、弁護士としての評判が大きく下がってしまいます。
また、業務停止以上の処分を受けた場合は、顧客を失ってしまうことになるのでより深刻です。

くれぐれもWebマーケティングを行う際は、非弁業者に加担することにならないよう、十分に注意してください。

まとめ

弁護士がWebマーケティングを行う際には、日弁連が定める指針の内容を踏まえて、非弁業者との提携を厳密に避ける必要があります。

Webマーケティングの手法はさまざまですので、不慣れな弁護士の先生は、士業のWebマーケティングに特化した業者に相談することも有効でしょう。

当社では、本文中でも紹介した「弁護士相談Cafe」のサイトなど、数多くの弁護士ポータルサイトを運営しています。

この記事で解説した非弁に関する規制についても、十分に踏まえたうえで運営しておりますので、Webマーケティングにご関心をお持ちの弁護士の先生は、ぜひ当社宛にご連絡ください。

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