弁護士のリスティング広告が「効果ない」と感じたら|広告費の無駄を見つける10の点検

Webマーケティング
この記事の監修者
鈴木潤 上級ウェブ解析士
【現職】 エファタ株式会社 Webディレクター
【専門】 士業向けデジタルマーケティング / 法務知見を活かしたWeb戦略 / 情報セキュリティ / ウェブ解析
【経歴】
・学術背景:早稲田大学 理工学部卒業/早稲田大学大学院 理工学研究科化学専攻修士課程修了
同大学院先進理工学研究科化学・生命化学専攻博士課程満期退学
・キャリア:SEOコンサルタントとして起業後、IT企業にてBCP・ポータルサイト運用を歴任
・現職: 士業特化のWeb制作・解析業務を統括
【保有資格】
・R6行政書士試験合格者(未登録)
・上級ウェブ解析士 / Google アナリティクス認定資格 / IMA検定
・情報セキュリティ管理士 上級
・デジタル推進委員(デジタル庁)
プロフィール

「広告費は毎月払っているのに、問い合わせが増えない」

「代理店からレポートは届くが、良いのか悪いのか判断できない」

「キーワードを増やしましょう、予算を上げましょう、と言われるが、それで良いのか分からない」

——すでにリスティング広告を出している先生から、こうしたご相談をよくいただきます。

効果が出ないとき、最初に考えたくなるのは「キーワードを足す」「予算を上げる」ことです。しかし実際に広告の管理画面を拝見すると、足す前に、漏れている所を止めるほうが効くことがほとんどです。しかも、その漏れ方には決まった型があります。

この記事では、すでに出している広告を見直すための10の点検項目をまとめました。マッチタイプ・除外キーワード・予算の決め方といった基本の設定は、弁護士のリスティング広告|費用相場と、成果の正しい数え方で解説しています。ここでは、基本の設定は一通りしてある広告でも見落とされやすい所を扱います。

弁護士ホームページ制作サービス「LEAGO」を運営し、法律事務所の広告の点検を行っている当社の立場からお伝えします。

まず「成果」が正しく数えられているか

最初に見るべきなのは、キーワードでも広告文でもなく、何を「成果(コンバージョン)」として数えているかです。

Google 広告の自動入札は、ここで数えている成果を増やすように動きます。成果の数え方がずれていると、入札もレポートの数字も、すべてずれた方向に進みます。ほかの点検の前に、ここを確かめてください。

点検1:主要な成果に、問い合わせでないものが入っていないか

Google 広告の成果には「メイン」と「サブ」の区分があります。メインの成果だけが「コンバージョン」の列に入り、入札にも使われます。

ここに、ページを見た・ボタンが表示された・地図を開いた、といった問い合わせではない動きがメインとして入っていることがあります。すると「コンバージョン」の数は多く見えますが、実際の問い合わせは増えていません。そして自動入札は、その問い合わせではない動きを増やしにいきます。

確かめ方:Google 広告の「目標」→「コンバージョン」→「概要」で、メインになっている成果の一覧を見ます。メインに残すのは、フォームの送信・電話・LINE の友だち追加など、実際の相談につながる動きだけにします。それ以外はサブに変えても「すべてのコンバージョン」の列で見られるので、記録が消えることはありません。

点検2:同じ問い合わせを二重に数えていないか

よくあるのが、ホームページに入れた Google 広告のタグと、Google アナリティクス(GA4)から取り込んだ成果の両方をメインにしている例です。1件の問い合わせが2件と数えられ、成果は実際の倍に、問い合わせ1件あたりの費用は実際の半分に見えます。

確かめ方:同じ「目標」→「コンバージョン」の一覧で、同じ問い合わせを数えている成果が2つメインになっていないかを見ます。フォームの送信数を、事務所に届いたメールの件数と照らし合わせるのが確実です。

なお、電話の成果は多くの場合「電話番号をタップした数」で、実際につながった件数ではありません。この点はこちらの記事で詳しく書いています。

広告費が漏れやすい5つの所

成果を正しく数えられたら、次は費用の行き先です。キーワードと除外キーワードを整えていても、次の5つは見落とされがちです。

点検3:対応していない地域に出ていないか

Google 広告の地域の設定には「所在地」と「所在地やインタレスト」の2つがあり、何も変えていなければ「所在地やインタレスト」になっています。これは、その地域にいる人だけでなく、その地域に関心を示した人にも広告を出す設定です。

そのため、たとえば東京の事務所の広告が、地方に住む人の「(地方の地名) 弁護士」という検索に出ることがあります。遠方の相談も受けている事務所なら問題ありませんが、来所が前提の分野では、そのクリックの費用はほぼ無駄になります。

一方で、遠方に住む家族が、事務所のある地域の名前で探すこともあります(刑事事件など)。一律に「所在地」へ絞るのではなく、実際にどこから問い合わせが来ているかを見て決めます。

確かめ方:「キャンペーン」→「分析情報とレポート」の「地域」で、クリックと成果がどの地域から来ているかを見ます。あわせて、検索語句のレポートに、対応していない地名が入っていないかを見ます。

点検4:受付時間と、広告の出る時間が合っているか

電話の受付時間外に広告が出ていると、夜中にクリックした人は電話がつながらず、そのまま別の事務所へ行ってしまいます。反対に、平日の夜まで電話を受けているのに、広告は18時で止まっている、という逆のずれもあります。

確かめ方:事務所の受付時間を曜日ごとに書き出し、Google 広告の「広告のスケジュール」と並べて比べます。あわせて、曜日・時間帯ごとの費用と成果を見て、成果の出ている時間に予算が回っているかを確かめます。

刑事事件のように夜間・休日に相談が集まる分野では、受付体制と合わせて、むしろその時間を厚くすることもあります。

点検5:Google 検索以外の配信先に流れていないか

検索広告のキャンペーンを作ると、「Google 検索パートナー」が最初から配信先に含まれます。Google 以外の検索サイトなどに広告が出る仕組みで、1クリックの費用は安いことが多いのですが、問い合わせにつながりにくいこともあります。ディスプレイ ネットワーク(ほかのサイトの広告枠)が含まれている場合も同じです。

1クリックが安いため、全体の平均の単価を下げ、成果が良く見えてしまうことがあります。

確かめ方:キャンペーンの一覧で「分類」→「ネットワーク(検索パートナーを含む)」を選ぶと、配信先ごとの費用と成果が分かれて出ます。配信先ごとに、問い合わせ1件あたりの費用を比べてください。止めるときは、キャンペーンの「設定」→「ネットワーク」で「Google 検索パートナーを含める」のチェックを外します。

点検6:P-MAX の費用の中身が見えているか

P-MAX(パフォーマンス最大化)キャンペーンは、検索・地図・YouTube・ほかのサイトなどに、まとめて自動で広告を出す仕組みです。設定の手間は少ないのですが、どこに出て、何に費用が使われたかが見えにくいのが難点です。

法律事務所の広告では、P-MAX が全体の費用の多くを占めているのに、その中身を誰も見ていない、ということがあります。

確かめ方:まずは、P-MAX が全体の費用の何割か、そして問い合わせ1件あたりの費用が検索広告と比べてどうかを見ます。「分析情報とレポート」の「チャネルのパフォーマンス」で、配信先ごとの内訳も確認できます。止めたり減らしたりするときは、一度に止めず、数字を見ながら段階的に進めます。

点検7:事務所名の検索に、広告費を払っていないか

事務所名で検索する人は、すでに事務所を知っていて、広告がなくてもホームページに来ることが多い人です。事務所名の検索に広告が出ていること自体は悪くありません(ほかの事務所の広告がその検索に出ている場合など、出しておく理由もあります)。

問題は、事務所名の検索とそれ以外の検索が混ざったまま、成果を見ていることです。事務所名の検索は問い合わせの率が高く、1クリックも安いため、混ざっていると広告全体の成果が実際より良く見えます。新しい相談者をどれだけ広告で呼べているかが分からなくなります。

確かめ方:検索語句のレポートで事務所名を含む語を探し、その費用と成果を、それ以外と分けて見ます。できれば、事務所名の検索は別のキャンペーンに分けておきます。

クリックは来るのに、問い合わせにならない所

クリックはあるのに問い合わせが少ないとき、原因は広告ではなく、クリックしたあとのページにあることが多くあります。

点検8:リンク先が、その分野のページになっているか

「交通事故 弁護士」で広告をクリックした人が、事務所のトップページに着くと、交通事故のページを自分で探さなければなりません。その手間で、多くの人は戻ってしまいます。

広告グループごとに、その分野の内容が書かれたページをリンク先にします。分野の記事が並んでいるだけの一覧ページや、説明の少ないページも、トップページと同じく戻られやすい先です。

確かめ方:「キャンペーン」→「分析情報とレポート」の「ランディング ページ」で、広告のリンク先ごとのクリックと成果を見ます。トップページや一覧ページに多くのクリックが集まっていないかを確かめてください。

点検9:品質スコアの低い言葉に、費用が集まっていないか

キーワードごとに、Google が10段階で示す「品質スコア」があります。品質スコアは3つの要素で決まり、どれが「平均より下」かによって直す所が変わります。

要素 「平均より下」のときに見る所
推定クリック率 広告文が、検索した人の悩みに答えているか
広告の関連性 キーワードと広告文の内容が合っているか。分野の違う言葉が1つの広告グループに混ざっていないか
ランディング ページの利便性 リンク先の内容が検索と合っているか。スマートフォンで表示が遅くないか、電話のボタンがすぐ押せるか

確かめ方:「キーワード」の表で「表示項目」から「品質スコア」と3つの要素の列を足します。費用の多いキーワードから順に、どの要素が「平均より下」かを見ます。費用の少ない言葉の品質スコアは、後回しで構いません。

削るだけでは、問い合わせは増えない

ここまでの点検は、主に無駄を止めるためのものです。しかし、無駄を止めただけでは、問い合わせは増えません。浮いた費用を、問い合わせにつながる所へ回して、はじめて増えます。

点検10:「順位で逃している表示」が多くないか

Google 広告には「インプレッション シェア」という数字があります。広告を出せたはずの回数のうち、実際に出た回数の割合です。出なかった分は、理由ごとに次の2つに分かれます。

  • 予算で逃した分:1日の予算を使い切って出なかった
  • 順位で逃した分:入札や広告の品質で、ほかの事務所に負けて出なかった

問い合わせにつながっている言葉で「順位で逃した分」が多いなら、そこが伸びしろです。無駄を止めて浮いた費用は、新しいキーワードを足すよりも、すでに成果の出ている言葉で逃している表示を取りに行くほうが、問い合わせにつながりやすくなります。そのために、入札を見直す、点検9の品質スコアを上げる、といった手を打ちます。

確かめ方:キャンペーンやキーワードの表で「表示項目」→「競合指標」から、「検索広告のインプレッション シェア」と「検索広告のインプレッション シェア損失率(ランク)」「同(予算)」の列を足します。

やってはいけない削り方

無駄を見つけると、すぐに止めたくなります。ただ、削り方を誤ると、問い合わせにつながっていた所まで止めてしまいます。

成果0件の言葉を、すぐに止める

クリックが少ないうちは、成果が0件でも「効かない言葉」とは言えません。たとえば広告全体で、20クリックに1件の割合で問い合わせが来ているなら、5クリックで0件なのは普通のことです。

当社では、広告全体の問い合わせの率から見て、2件分のクリック(この例なら40クリック)を使って0件なら、止める候補にしています。それより少ないクリックで判断すると、たまたま0件だった良い言葉を止めてしまいます。

一度に、たくさん変える

地域・時間・配信先・入札を一度に変えると、問い合わせが増えても減っても、どれが効いたのか分かりません。

また、自動入札は設定を変えたあと、新しい状態に合わせ直す期間に入ります。Google は、入札戦略の目標を設定したら、少なくとも2週間は変えないよう案内しています。変える所は1つずつ、変えた日を記録して、前後の数字を比べます。

代理店に任せている場合に、聞いてみること

広告の運用を代理店に任せている場合は、次の4つを聞いてみてください。答えがすぐに返ってくるかどうかで、口座がどれだけ見られているかが分かります。

  1. 「コンバージョン」には何を数えていますか。メインの成果の中身(点検1・2)
  2. 配信先ごと(検索・検索パートナー・P-MAX)の費用と、問い合わせ1件あたりの費用はいくらですか。(点検5・6)
  3. 最後に設定を変えたのはいつで、何を変えましたか。Google 広告の「変更履歴」で、誰がいつ何を変えたかを確かめられます
  4. 広告の出る時間は、事務所の受付時間と合っていますか。(点検4)

このほか、代行会社の選び方のポイントはこちらの記事にまとめています。

自分で点検できるチェック表

点検 Google 広告で見る所 こうなっていたら要注意
1. メインの成果の中身 目標 → コンバージョン → 概要 問い合わせでない動きがメインに入っている
2. 二重の数え方 目標 → コンバージョン → 概要 同じ問い合わせを数える成果が2つメインにある
3. 地域 分析情報とレポート → 地域/検索語句 対応していない地域や地名に費用が出ている
4. 時間 広告のスケジュール 受付時間とずれている
5. 配信先 分類 → ネットワーク(検索パートナーを含む) 検索パートナーなどの問い合わせ1件あたりの費用が高い
6. P-MAX キャンペーン一覧/チャネルのパフォーマンス 費用の多くを占めるのに、中身を見ていない
7. 事務所名の検索 検索語句 事務所名の検索が混ざったまま成果を見ている
8. リンク先 分析情報とレポート → ランディング ページ トップページや一覧ページにクリックが集まっている
9. 品質スコア キーワード → 表示項目 → 品質スコア 費用の多い言葉で「平均より下」の要素がある
10. 逃している表示 表示項目 → 競合指標 成果の出ている言葉で「損失率(ランク)」が大きい

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「自分で見るのは難しい」「代理店の運用が適切か、第三者の目で確かめたい」という先生のために、当社ではGoogle 広告の無料点検を行っています。

  • 運用はそのまま:今の代理店や、先生ご自身の運用を変える必要はありません
  • 見るだけの権限で拝見:広告の管理画面を、設定を変えられない「閲覧のみ」の権限で共有いただきます
  • この記事の10項目を中心に点検:漏れている所と、問い合わせを増やす余地を確かめます
  • 報告書と打ち合わせでお伝え:点検の結果を報告書にまとめ、打ち合わせ(オンラインも可)で、直す所を優先する順にご説明します

法律事務所のホームページ制作と、ポータルサイトの運用で、どの検索が相談につながるかを見てきた当社が、同じ業界の目で点検します。

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まとめ|足す前に、漏れを止める

リスティング広告の効果が出ないとき、見直す順番は次のとおりです。

  • 成果を正しく数える。メインの成果は実際の相談につながる動きだけにし、二重に数えない(点検1・2)
  • 漏れを止める。地域・時間・配信先・P-MAX・事務所名の検索を確かめる(点検3〜7)
  • クリックのあとを整える。リンク先と品質スコアを見る(点検8・9)
  • 浮いた費用を、逃している表示へ回す。成果の出ている言葉で、順位で逃した分を取りに行く(点検10)

キーワードを足したり予算を上げたりするのは、そのあとで十分です。まずは、いま出している広告の管理画面を開いて、チェック表の10項目を確かめてみてください。